最近、スーパーやコンビニで「たんぱく質○○g」と書かれた商品をよく見かけるようになりました。たんぱく質は筋肉だけでなく、内臓・血液・皮膚・骨など、私たちの体をつくる材料となる重要な栄養素です。そして、"健康に自立して生活できる期間"=健康寿命を延ばすうえでも、たんぱく質は欠かせません。筋肉量は20〜30代をピークに、40代以降は加齢とともに少しずつ減少していきます。運動や食事で対策をしないままでは、その減少スピードはさらに加速すると言われています。【読了目安時間:5分】▼目次たんぱく質不足が引き起こす体の変化●筋肉量が減るたんぱく質が不足すると、まず影響が現れやすいのが筋肉です。筋肉は、単に「動くための力」だけではありません。「姿勢を保つ」「体温をつくる」「転倒を防ぐ」「日常生活の動作を支える」といった役割を担う大切な組織です。加齢とともに筋肉量や筋力が低下し、身体機能が衰えていく状態を「サルコペニア」といい、たんぱく質不足が続くとこのサルコペニアが進行しやすくなります。〈筋肉が減ることによる変化〉• 足元がふらつきやすくなる• 立ち上がりや歩行が重く感じる• 活動量が減り、さらに筋肉が落ちる悪循環へ• 基礎代謝が低下し、食欲も落ちやすくなるサルコペニアの主な要因は加齢ですが、たんぱく質の不足や運動量の低下が重なることで進行が早まることが分かっています。逆に言えば、適切なたんぱく質摂取と軽い運動を組み合わせることで、予防・改善が期待できるのです。● 骨がもろくなる骨はカルシウムだけでなく、たんぱく質由来のコラーゲンによってしなやかさを保っています。たんぱく質が不足すると骨密度が低下し、転倒時の骨折リスクが高まります。筋肉量の減少と骨の弱さが重なると、日常生活の安全性にも影響します。● むくみや皮膚トラブルのリスクが増加する血中たんぱく質(アルブミン)が低下すると、体内の水分バランスが崩れてむくみが起こりやすくなったり、皮膚の再生力が落ちてしまいます。将来的に身体機能が衰え、動く機会が減ると床ずれ(褥瘡)や皮膚トラブルが起こるリスクが大きくなります。必要なたんぱく質量の目安とは?「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、65歳以上のたんぱく質摂取量の目安を、男性60g/日、女性50g/日としています。筋力や体力を維持するためには、体重1kgあたり1.0〜1.5gを目安に、毎食こまめにたんぱく質を取り入れることが大切です。一度にたくさん食べる必要はありません。無理なく続けられる工夫こそが、元気な毎日を支えるポイントです。たんぱく質を一度に多く摂りすぎると、消化しきれず胃もたれや消化不良につながることがあります。例えば、体重50kgの40代女性の場合、1日に必要なたんぱく質量は50〜75g。これを3食に分けると、1食あたり約20gを意識すると無理なく続けられます。下記のたんぱく質量を覚えておくと、食事の際に簡単に足してみることもできます。● たんぱく質量の目安• 肉・魚:100g前後で約20g• 卵:1個で約6g• 納豆:1パックで約6g• 木綿豆腐:約100gで約6g• 牛乳:180ml(コップ1杯)で約6g肉や魚などの動物性たんぱく質と納豆や豆腐などの植物性たんぱく質を組み合わせることで、アミノ酸バランスも良くなり栄養のバランスが整います。また、赤身の肉には、筋肉を作る時に欠かせないアミノ酸「メチオニン」が豊富です。鉄分、ビタミンB群、亜鉛など、骨や筋肉の健康を支える栄養素も多く含まれています。• 牛肉、ラム肉、馬肉、レバー• 鶏肉なら、砂肝・ハツ・レバーなどもおすすめさらに、ニンニクやタマネギに含まれる"硫化アリル"という成分は、この「メチオニン」を作るサポートをします。これらの食材とお肉料理は、体づくりに役立つ良い組み合わせと言えます。胃をいたわりながら、無理なく続ける工夫年齢とともに「若い頃ほど肉が食べられなくなった」と感じる方は少なくありません。しかし、たんぱく質を消化する酵素もたんぱく質から作られるため、避け続けるとますます消化しにくい体になってしまいます。胃の働きを保つためにも、無理のない量で継続することが大切です。● 食べ方の工夫• 食事の最初にたんぱく質や食物繊維を摂る→胃がしっかり働き、血糖コントロールにも役立つ• 大根おろし、ショウガ、キャベツなど、消化を助ける食材を添える• 硬いものが噛みにくい方には赤身のひき肉を活用• 少食の方には間食として【ゆで卵、焼き鳥、枝豆、煮干し、サラダチキン、ちくわなど】を取り入れることもおすすめです!「食べられる形で、少しずつ」が続けるコツです。まとめたんぱく質は、筋肉・骨・体力を支える大切な栄養素ですが、体にいいからと過剰に摂ってしまうと分解の過程で「尿素窒素」という物質が増え、腎臓に負担がかかることがあります。特に高齢者では腎機能が低下している場合もあるため、必要以上にたんぱく質のみを摂りすぎることには注意が必要です。大切なのは、「摂らなさすぎ」と「摂りすぎ」のどちらも避けるバランスです。持病のある方は、医師や医療従事者と相談しながら調整しましょう。一度に多く摂るのではなく、毎食20g前後を目安にこまめに分けて摂ることがポイントです。体調や噛む力に合わせて食材を選び、無理なく続ける工夫が、健やかな毎日につながります。