近年、健康志向の高まりや受動喫煙への配慮から、禁煙への関心が広がっています。今こそ、自分の暮らしを見つめ直すタイミングかもしれません。
禁煙は「我慢」や「制限」ではなく、自分と大切な人の未来を守る前向きな選択です。
【読了目安時間:5分】
1.知っておきたい、受動喫煙のこと
「受動喫煙」という言葉をご存じでしょうか。これは、自分ではたばこを吸っていなくても、周囲の喫煙によって煙を吸い込むことになる状況を指します。
日本の喫煙率は、先進国の中でも高水準にあり、特に福島県では、男性33.2%(全国ワースト1位)、女性 10.5%(全国ワースト2位)、男女合わせて21.4%(全国平均16.1%)と、全国平均を大きく上回っています。
〈福島県の喫煙率〉
| 性別 |
喫煙率 |
全国順位 |
| 男性 |
33.20% |
ワースト1位 |
| 女性 |
10.50% |
ワースト2位 |
| 男女平均 |
21.40% |
全国平均(16.1%)を大きく上回る |
(2024年度国民生活基礎調査)
この数字は、喫煙をしている本人だけでなく、その家族やペット、そして地域の方々が知らず知らずのうちに健康被害を受けてしまう可能性も表しているということになります。
たばこの煙には、ニコチン・タール・一酸化炭素など約200種類以上の有害物質が含まれ、そのうち50種類以上が発がん性物質です。喫煙者本人が吸うたばこの煙を“主流煙”、本人以外の人が吸い込む煙のことを“副流煙”と言います。「受動喫煙」では、この副流煙を吸うことになり、主流煙よりも数倍多くの有害物質が含まれていると言われています。
2.残留する“見えない煙”~三次喫煙の危険性~
三次喫煙とは、煙が見えなくても、たばこの有害成分が衣類や壁に付着してしまい、その周辺の空気を吸うことで健康被害が生じる可能性があるということです。
これは、換気扇の下でたばこを吸っていても防げるものではなく、空気清浄機や換気では完全に防ぐことはできません。同居する家族やペット、特に子どもたちの健康に深刻な影響を与えると考えられています。
また、親が喫煙する家庭の子どもは、喫煙しない親の子どもに比べて、将来喫煙する確率が2〜3倍高くなるとも言われています。たばこは、本人の健康だけでなく、家庭の未来、地域の未来にまで影響を及ぼす存在なのです。
自分を含め子どもたちの未来のためにも、たばこの煙がない環境を地域や自治体みんなで作っていく必要があるということです。
3.「煙が出ないから安全?」という誤認
加熱式たばこや電子たばこなど、一見「煙が出ないから安全」と思われがちな製品も、完全に無害とは言えません。
煙が少ない、においが気にならない、などという理由で使用されることもありますが、決して体にいいものではありません。煙自体が見えない分、副流煙や残留成分のリスクを含め静かに体を蝕んでしまっている可能性があります。
加熱式たばこと電子たばこの違いとは?
・加熱式たばこ…たばこ葉やたばこの葉を加工したものに、熱を加えてエアロゾル(霧状の粒子)を発生させ、その中に含まれるニコチンやその他化学物質を吸入する製品です。
タバコの葉に直接火をつけないため煙が出ないことや、髪や衣服ににおいがつきにくいことから、紙巻タバコから加熱式タバコに切り替える人も増えているのが現状です。形や機能は違っても中身は紙巻タバコと同じ「タバコの葉」なので、れっきとした「タバコ」であり、ニコチンを含むために依存性や体への悪影響は否めません。
・電子たばこ…「リキッド」と呼ばれる液体を加熱して、その蒸気を吸うための製品です。リキッドの主な成分は、プロピレングリコールと植物性グリセリン。どちらも食品添加物として広く使用されている物質です。
しかし、「添加物で既に使用されているものなら安全だ」というわけではありません。それらの物質を吸入し続けた場合に、どのような健康被害があるかが未だ解っていないという怖さがあります。
ニコチンは含まれていないため、依存性は紙巻たばこより低いと考えられますが、吸入する成分(プロピレングリコールなど)が気道を刺激したり、肺への刺激や炎症が起こる可能性もあることを知っておかなければなりません。
添加物だから安心と思いこまず、吸入するというリスクを考えることが大切です。
4.自分と周囲を守るやさしさ
禁煙は、決して「我慢」や「制限」だけではありません。
様々なメリットがあります。
もし自分が禁煙することができたら…という未来を想像してみましょう。
禁煙をするメリット
- 咳や痰が改善し呼吸が楽になる
- 若々しくいられる
- たばこ代がかからない
- 余計な医療費がかからない
- 家族が喜ぶ
- よく眠れるようになる
- 食事が美味しく感じる など
5年後のあなたが笑っているために、禁煙は“未来の自分”へのプレゼントです。
① 「もう長年吸ってきたし、今さらやめても…」と思っている方へ
禁煙を始めると狭心症や心筋梗塞などの虚血性疾患のリスクが減ってきます。10年以上禁煙すれば肺がんのリスクが約半分に低下し、その他様々な疾患にかかるリスクがたばこを吸っていない人のレベルに近づくことがわかっています。
つまり、たばこをやめるのに“遅すぎる”ことはありません。
体は、思っている以上にしっかり回復してくれます。
たとえば、数週間で血流が改善され、息切れが軽減されることもあります。朝の目覚めがすっきりし、肌のハリが戻ってくるのを感じる方もいるでしょう。
禁煙は“寿命をのばす”だけでなく、“あなたらしく輝いて、元気でいられる時間”を増やす選択です。
子どもと一緒に旅行したり、おいしいものを味わったり。
そんな「未来の笑顔の時間」を増やすために、今日から少しずつ、やめる一歩を考えてみませんか?
②「そろそろたばこをやめたいな…」「実際にどうすれば禁煙できるのかな」と思っている方へ
そんな気持ちが芽生えた時があなたの禁煙のチャンスかもしれません。ほんの少し勇気を出して、まずは一歩踏み出してみましょう。
・医療機関で禁煙治療をする場合
→お近くの医療機関で「禁煙外来」を行っている病院またはクリニックに問い合わせてみる。
・市販薬で禁煙治療をする場合
→お近くの調剤薬局、薬剤師へご相談ください。まずは、禁煙治療にはどのようなものがあるか、どう選べばいいかなど、話を聞いてみるだけでもOKです。
禁煙のきっかけは人それぞれです。家族の妊娠・出産、検診結果、歯の黄ばみや口臭、肌荒れ、健康への不安、ストレスの対処法の見直しなど、「やめたい」と思ったその瞬間が禁煙のチャンス!
禁煙は自分自身を大切にし、家族や周囲の人々を思いやる「やさしさ」の表れでもあります。
5.禁煙のための豆知識
禁煙を始めたら、朝起きた時や食後、仕事の合間などにふとたばこを吸いたくなる気持ちが出てくるかもしれません。そんな時は以下の方法をタイミングに合わせて試してみて下さい。
たばこを吸いたい気持ちを紛らわせるご提案
- ガムやグミを噛む(糖質を抑えたものがオススメ)
- 干し昆布を噛む
- 深呼吸をする
- アロマのようないい香りを楽しむ
- ストレッチやラジオ体操で体を動かす
- 歯を磨く
6.まとめ
たばこは、本人だけでなく、周囲の人の健康や未来にも影響を及ぼします。
煙が見えなくても、リスクは確かに存在しています。
だからこそ、禁煙は「我慢」ではなく「やさしさの選択」。
健やかな暮らしを育む一歩として、禁煙という選択をあなたらしく始めてみませんか。
近年、健康志向の高まりや受動喫煙への配慮から、禁煙への関心が広がっています。今こそ、自分の暮らしを見つめ直すタイミングかもしれません。
禁煙は「我慢」や「制限」ではなく、自分と大切な人の未来を守る前向きな選択です。
【読了目安時間:5分】
1.知っておきたい、受動喫煙のこと
「受動喫煙」という言葉をご存じでしょうか。これは、自分ではたばこを吸っていなくても、周囲の喫煙によって煙を吸い込むことになる状況を指します。
日本の喫煙率は、先進国の中でも高水準にあり、特に福島県では、男性33.2%(全国ワースト1位)、女性 10.5%(全国ワースト2位)、男女合わせて21.4%(全国平均16.1%)と、全国平均を大きく上回っています。
〈福島県の喫煙率〉
| 性別 |
喫煙率 |
全国順位 |
| 男性 |
33.20% |
ワースト1位 |
| 女性 |
10.50% |
ワースト2位 |
| 男女平均 |
21.40% |
全国平均(16.1%)を大きく上回る |
(2024年度国民生活基礎調査)
この数字は、喫煙をしている本人だけでなく、その家族やペット、そして地域の方々が知らず知らずのうちに健康被害を受けてしまう可能性も表しているということになります。
たばこの煙には、ニコチン・タール・一酸化炭素など約200種類以上の有害物質が含まれ、そのうち50種類以上が発がん性物質です。喫煙者本人が吸うたばこの煙を“主流煙”、本人以外の人が吸い込む煙のことを“副流煙”と言います。「受動喫煙」では、この副流煙を吸うことになり、主流煙よりも数倍多くの有害物質が含まれていると言われています。
2.残留する“見えない煙”~三次喫煙の危険性~
三次喫煙とは、煙が見えなくても、たばこの有害成分が衣類や壁に付着してしまい、その周辺の空気を吸うことで健康被害が生じる可能性があるということです。
これは、換気扇の下でたばこを吸っていても防げるものではなく、空気清浄機や換気では完全に防ぐことはできません。同居する家族やペット、特に子どもたちの健康に深刻な影響を与えると考えられています。
また、親が喫煙する家庭の子どもは、喫煙しない親の子どもに比べて、将来喫煙する確率が2〜3倍高くなるとも言われています。たばこは、本人の健康だけでなく、家庭の未来、地域の未来にまで影響を及ぼす存在なのです。
自分を含め子どもたちの未来のためにも、たばこの煙がない環境を地域や自治体みんなで作っていく必要があるということです。
3.「煙が出ないから安全?」という誤認
加熱式たばこや電子たばこなど、一見「煙が出ないから安全」と思われがちな製品も、完全に無害とは言えません。
煙が少ない、においが気にならない、などという理由で使用されることもありますが、決して体にいいものではありません。煙自体が見えない分、副流煙や残留成分のリスクを含め静かに体を蝕んでしまっている可能性があります。
加熱式たばこと電子たばこの違いとは?
・加熱式たばこ…たばこ葉やたばこの葉を加工したものに、熱を加えてエアロゾル(霧状の粒子)を発生させ、その中に含まれるニコチンやその他化学物質を吸入する製品です。
タバコの葉に直接火をつけないため煙が出ないことや、髪や衣服ににおいがつきにくいことから、紙巻タバコから加熱式タバコに切り替える人も増えているのが現状です。形や機能は違っても中身は紙巻タバコと同じ「タバコの葉」なので、れっきとした「タバコ」であり、ニコチンを含むために依存性や体への悪影響は否めません。
・電子たばこ…「リキッド」と呼ばれる液体を加熱して、その蒸気を吸うための製品です。リキッドの主な成分は、プロピレングリコールと植物性グリセリン。どちらも食品添加物として広く使用されている物質です。
しかし、「添加物で既に使用されているものなら安全だ」というわけではありません。それらの物質を吸入し続けた場合に、どのような健康被害があるかが未だ解っていないという怖さがあります。
ニコチンは含まれていないため、依存性は紙巻たばこより低いと考えられますが、吸入する成分(プロピレングリコールなど)が気道を刺激したり、肺への刺激や炎症が起こる可能性もあることを知っておかなければなりません。
添加物だから安心と思いこまず、吸入するというリスクを考えることが大切です。
4.自分と周囲を守るやさしさ
禁煙は、決して「我慢」や「制限」だけではありません。
様々なメリットがあります。
もし自分が禁煙することができたら…という未来を想像してみましょう。
禁煙をするメリット
- 咳や痰が改善し呼吸が楽になる
- 若々しくいられる
- たばこ代がかからない
- 余計な医療費がかからない
- 家族が喜ぶ
- よく眠れるようになる
- 食事が美味しく感じる など
5年後のあなたが笑っているために、禁煙は“未来の自分”へのプレゼントです。
① 「もう長年吸ってきたし、今さらやめても…」と思っている方へ
禁煙を始めると狭心症や心筋梗塞などの虚血性疾患のリスクが減ってきます。10年以上禁煙すれば肺がんのリスクが約半分に低下し、その他様々な疾患にかかるリスクがたばこを吸っていない人のレベルに近づくことがわかっています。
つまり、たばこをやめるのに“遅すぎる”ことはありません。
体は、思っている以上にしっかり回復してくれます。
たとえば、数週間で血流が改善され、息切れが軽減されることもあります。朝の目覚めがすっきりし、肌のハリが戻ってくるのを感じる方もいるでしょう。
禁煙は“寿命をのばす”だけでなく、“あなたらしく輝いて、元気でいられる時間”を増やす選択です。
子どもと一緒に旅行したり、おいしいものを味わったり。
そんな「未来の笑顔の時間」を増やすために、今日から少しずつ、やめる一歩を考えてみませんか?
②「そろそろたばこをやめたいな…」「実際にどうすれば禁煙できるのかな」と思っている方へ
そんな気持ちが芽生えた時があなたの禁煙のチャンスかもしれません。ほんの少し勇気を出して、まずは一歩踏み出してみましょう。
・医療機関で禁煙治療をする場合
→お近くの医療機関で「禁煙外来」を行っている病院またはクリニックに問い合わせてみる。
・市販薬で禁煙治療をする場合
→お近くの調剤薬局、薬剤師へご相談ください。まずは、禁煙治療にはどのようなものがあるか、どう選べばいいかなど、話を聞いてみるだけでもOKです。
禁煙のきっかけは人それぞれです。家族の妊娠・出産、検診結果、歯の黄ばみや口臭、肌荒れ、健康への不安、ストレスの対処法の見直しなど、「やめたい」と思ったその瞬間が禁煙のチャンス!
禁煙は自分自身を大切にし、家族や周囲の人々を思いやる「やさしさ」の表れでもあります。
5.禁煙のための豆知識
禁煙を始めたら、朝起きた時や食後、仕事の合間などにふとたばこを吸いたくなる気持ちが出てくるかもしれません。そんな時は以下の方法をタイミングに合わせて試してみて下さい。
たばこを吸いたい気持ちを紛らわせるご提案
- ガムやグミを噛む(糖質を抑えたものがオススメ)
- 干し昆布を噛む
- 深呼吸をする
- アロマのようないい香りを楽しむ
- ストレッチやラジオ体操で体を動かす
- 歯を磨く
6.まとめ
たばこは、本人だけでなく、周囲の人の健康や未来にも影響を及ぼします。
煙が見えなくても、リスクは確かに存在しています。
だからこそ、禁煙は「我慢」ではなく「やさしさの選択」。
健やかな暮らしを育む一歩として、禁煙という選択をあなたらしく始めてみませんか。