どれだけ予防をしていても、気温や体調の変化によって熱中症になってしまうこともあります。大切なのは「早く気づいて、すぐに対応すること」です。
今回は、熱中症になったときの正しい対処法についてお伝えします。

1.熱中症のサインを見逃さない!

熱中症は、症状の重さによって3つに分類されます。以下の表をご覧ください。

特に子どもの場合は、症状が急激に悪化することがあるため、初期のサインを見逃さず、すぐに対応することが重要です。

2.熱中症になった時の正しい対処法

① 涼しい場所に移動

まずは直射日光を避け、風通しの良い日陰や、クーラーの効いた室内に移動させましょう。屋外で倒れている場合は、すぐに日陰に運びます。

② 衣服をゆるめて、体を冷やす

「衣服をゆるめ、熱を逃がしやすくします。その上で、体の太い血管が通っている部分を冷やすと、体温を効率的に下げることができます。特に以下の部位を重点的に冷やしましょう。

  • 脇の下
  • 太ももの付け根(鼠蹊部
  • 足首

これらの部位には太い血管が通っており、ここを冷やすことで冷えた血液が全身を巡り、脳や内臓などの重要な器官の深部体温上昇を抑える効果があります。

※深部体温とは...皮膚の表面ではなく、脳や心臓、肝臓など体の内部の温度のこと。深部体温が高くなりすぎると、臓器に負担がかかり、体の働きが乱れてしまうことがあるため、適切な温度にすることが大切です。

また、手のひらや頬を冷やす「手のひら冷却」もおすすめです。10〜15分程度、10〜15°Cの冷たすぎない温度で冷やすことで深部体温上昇を防ぎます。冷えたペットボトルを手で持つのも効果的。

これは運動の前後に行うことで、熱中症の予防にもつながります。

③水分と電解質を補給する

意識がはっきりしていて、飲み込む力がある場合は、すぐに経口補水液を使って水分補給を行いましょう。

【飲ませ方のポイント】

  • 一度にたくさん飲ませず、大さじ1〜2杯(15〜30mL)を5分おきに少しずつ
  • 吐き気や嘔吐がないかを確認しながら進める

なお、経口補水液は、脱水症状が疑われるときに点滴の代わりに使う「非常用」の飲み物です。予防目的で常用するなどの日常的な摂取は、ナトリウムの過剰となり、腎臓に負担がかかることがあります。
適切な場面で摂取するようにしましょう。

3.セルフケア? 医療機関受診?

熱中症は予防と早期対処でほとんどが防げる病気です。
だからこそ、私たち一人ひとりが「気づき」「行動」することが大切です。

「ちょっと様子がおかしいな」と思ったら、まずは休ませる。そして、冷やして水分補給。それでも改善しない場合は、迷わず医療機関へ。

自分自身、そして大切な人を守るために――
熱中症は知って、備えて、しっかり防ぎましょう!